相続税を計算する上で大切なことが財産の評価です。財産によって評価の方法が異なります。
※相続財産の評価をしたい方は相続財産評価サポートサービスをご利用ください。
宅地の評価
市街地的形態を形成する地域にある宅地は「路線価方式」により評価し、それ以外の地域は「倍率方式」により評価されます。
1)路線価方式
路線価方式とは、宅地の面する路線ごとに定められた路線価を基礎として、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率などの画地調整率を使って評価額を求める方法。
なお、路線価図は各地の税務署に備え置かれています。
路線価はその都市の公示価格の80%相当額とされています。
2)倍率方式
倍率方式とは、その宅地の固定資産税評価額に国税局長が定めた一定の倍率を乗じて計算した金額により評価する方法です。
路線価のついていない場所は、倍率方式により評価することになります。
倍率評価による評価額=固定資産税評価額×倍率
※農地の評価は農家の相続対策のページ参照
※土地評価額を決める4つの公的な価格
公示価格 | 国土交通省 土地鑑定委員会 |
毎年1月1日 | 3月下旬頃 | 一般の土地取引の指標 |
基準値 標準価格 |
都道府県知事 | 毎年7月1日 | 9月下旬頃 | 公示価格の補完 |
相続税 路線価 |
国税庁 | 毎年1月1日 | 8月上旬頃 | 相続税・贈与税算出の基礎。 公示価格の80%程度の水準。 |
固定資産税 評価額 |
市区町村長、 東京23区は、 東京都 |
原則基準年度 (3年ごと)の前年1月1日 |
3月1日、 基準年度は 4月1日 |
固定資産税・不動産取得税・ 登録免許税等の算出の基礎。 公示価格の70%程度の水準。 |
山林の評価
純山林、中間山林 倍率評価による評価額=固定資産税評価額×倍率
市街地山林 その山林が宅地であるとした場合の価額-宅地造成費
私道の評価
不特定多数の人が利用している場合 評価しない
特定の者のみ利用している場合 通常宅地の30%で評価
耕作権の評価
農地の自用地としての価額×(1-耕作権割合)
永小作権の評価
農地の自用地としての価額×(1-残存期間に応じた割合)
地上権の評価
自用地としての価額×権利の残存期間に応じた割合
普通借地権および貸宅地の評価
借地権の評価額=自用地評価額×借地権割合
貸宅地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
貸家建付地の評価
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
貸家建付借地権の評価
貸家建付借地権の評価額=借地権の評価額(=自用地評価額×借地権割合)×(1-借家権割合×賃貸割合)
使用貸借の評価
自用地としての評価額
家屋の評価
自用建物の評価額=固定資産税評価額×1.0
(固定資産税評価額は、建物については建築費の50~70%ぐらい)
建築中の家屋=費用現価×70%
貸付用建物(貸家)=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
付属設備等
家屋と構造上、一体となっている設備=家屋の価格に含めて評価
建築物(門・塀)=(再建築価額-経過年数に応ずる減価の額)×70%
建築物(庭木・庭石・池)=調達価額の70%相当額
マンションの評価
建物=固定資産税評価額
敷地=敷地面積の評価額×敷地権割合
預貯金の評価
相続開始日の預入残高
定期預金等=預入残高+既経過利子の額
有価証券
1)株 式
上場株式は次の4つのうち最も低い価額で評価します。
1.課税時期の終値
2.課税時期の属する月の毎日の終値の平均額
3.課税時期の属する月の前月の毎日の終値の平均額
4.課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の平均額
2)利付公社債
1.発行価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の手取額
2.課税時期最終価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の手取額
いずれか低いほう
3)転換社債
1.上場または店頭登録されている転換社債
転換社債の評価額=課税時期の最終価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の額
2.上記1以外の転換社債 発行会社の株式の価格≦転換価格の場合
転換社債の評価額=発行価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の額
3.上記1以外の転換社債 発行会社の株式の価格>転換価格の場合
転換社債の評価額=株式の価格×100円÷転換価格
4)割引債
1.発行価格+既経過償還差益
2.課税時期最終価格
いずれか低いほう
5)貸付信託
元金+(既経過収益の手取額-源泉徴収される所得税相当額)-買取割引料
6)投資信託
相続開始日の基準価額
ゴルフ会員権の評価
取引相場のあるもの 課税時期の取引価格×70%
取引相場のないもの
株式型会員権 株式の価額
株式・預託金併用型会員権 株式の価額+預託金等
預託金会員権 預託金等
動 産
売買実例価額や精通者意見価格等
書画骨董
販売業者の所有品 棚卸商品として評価
販売業者以外の所有品 売買実例価額や鑑定により評価
著作権
年平均印税収入の額×0.5×評価倍率=評価額
電話加入権
取引相場のあるもの 通常の取引価額
取引相場のないもの 電話取扱局ごとに国税局長が定める
自動車
調達価額または、(新品の小売価額-経過年数に応じた減額)
死亡生命保険金
保険金-非課税枠(500万円×法定相続人数)
死亡退職金
死亡退職金-非課税枠(500万円×法定相続人数)
定期金
給付事由が発生していない場合
評価額=払い込まれた掛金の合計額×払込開始時から課税時期までの経過期間に応じた割合
5年以下
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5年超 10年以下 | |
10年超 15年以下 | |
15年超 |
給付事由が発生している場合
1.有期定期金の評価額
評価額=残存期間に受けるべき金額の総額×残存期間に応じた割合
5年以下
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5年超 10年以下 | |
10年超 15年以下 | |
15年超 25年以下 | |
25年超 35年以下 | |
35年超 |
2.無期定期金の評価額
評価額=1年間に受けるべき金額×15
3.終身定期金の評価額
評価額=1年間に受けるべき金額×その目的とされた人の年齢に応じた倍率
25歳以下
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25歳超 40歳以下 | |
40歳超 50歳以下 | |
50歳超 60歳以下 | |
60歳超 70歳以下 | |
70歳超 |
4.保証期間付定期金の評価額
保証期間の残存期間を有期定期金として評価した金額と、終身定期金として評価した金額とのいずれか高い方の金額
果樹等および立竹木
1.果樹等
(標準価額+標準価額×20%の範囲内の増減調整額)×地積標準価額
2.森林の立木
標準価額×調整率×地積
3.森林以外の立木
(標準価額+標準価額×20%の範囲内の増減調整額)×本数
4.庭園の立木
再調達価額の70%
5.竹木
標準価額×調整率×地積